アメリカ連邦準備制度(FRB)を解明する
『晴耕雨読』さんの「連邦準備銀行と日銀の違い:ドル紙幣は貨幣ではなく「利子がつかない小額の国債」」は卓見である。
その要旨は、
アメリカ連邦準備制度(FRB)は、ドル紙幣を印刷してアメリカ政府の国債を引き受ける。 アメリカのドル紙幣とは「利 子のつかない国債=借用証書」である。FRBの株主たち=出資銀行団は、国債の利息分を丸儲けしている。国家財政が赤字になればなるほど、FRBは儲かる という仕組みである。しかも法人税まで免除という特典つき。
「これは、アメリカ国民の富の略奪以外の何ものでもない…」では済まず、日本をはじめ世界からの富の略奪機関がFRBだと思っています。(中略)FRBについては実態も論理もまだ読み切っていないので、資料や考えるきっかけを提供していただければ助かります。
アメリカの金融支配の中核にあるFRBの解明に入ろうと思う。
まずは、基礎的事実を明らかにしたい。
FRBは民間銀行だが、世界中の中央銀行が全て民間というわけではない。というより、ほとんどの中央銀行は民間から始まったがその後国有化されてきたというのが、事実である。
以下 田尻嗣夫『中央銀行 危機の時代』日本経済新聞社より、先進各国の中央銀行の歴史。
設立年1656 スウェーデン・リクスバンク →1668民間銀行として国会の保障の下に運営
1694 イングランド銀行 民有→1946国有化1800 フランス銀行 民有→1945国有化
1809 フィンランド銀行 不詳→1867国会の保障と監督のもとで運営。民間出資はない。
1814 オランダ銀行 民有→1948国有化
1816 ノルウェー銀行 民有→1949国有化
1818 デンマーク国立銀行 民有→1936全額政府出資に
1850 ベルギー国立銀行 民有→1948半額政府出資に1875 独ブンデスバンク ライヒスバンク、民有
→1945ライヒスバンク閉鎖
→1947各州中央銀行、州政府出資
→1948レンダーバンク州中央銀行が出資
→1957ブンデスバンクに統一、全額連邦帰属に1882 日本銀行 半額政府出資→1885政府保有株式を皇室財産に編入(資本所有は民有形式に)
→1942日本銀行法、政府出資55%に
→1997新日本銀行法
1893 イタリア銀行 民有→1936全額金融機関出資
1905 スイス国立銀行 55%は州、州立銀行が出資
1911 オーストラリア連邦銀行 無資本→1942同国連邦銀行積立金から4000万ポンド払込資本金へ
→1945現行制度に1913 アメリカ連邦準備制度 加盟銀行が全額出資
1922 オーストリア国立銀行 民有→1938独墺合併、ライヒスバンクに吸収
→1945旧制度を復活→1955半額政府出資
1933 ニュージーランド準備銀行 民有→1936民間保有株式を償却
1934 カナダ銀行 民有→1936一部政府出資に→1938全額政府出資
1934 インド準備銀行 民有→1948全株国有化1990年代 EU加盟国の多くは、1999年通貨統合にあたり、欧州連合条約の規定に従って、中央銀行の政府からの独立性強化を迫られた。それを主導したのが、ドイツ・ブンデスバンク。
注目点として、
①先進国のほとんどの中央銀行は1800年代に民間銀行としてスタートしたが、その多くが1939~45第二次大戦の前後に国有化されている。 なぜか?
②アメリカ連邦準備制度(FRB)は他国の中央銀行より遅れて設立された。第一次大戦前夜の1913年。日本よりも遅い。かつ、未だに民間銀行。ここに、アメリカ連邦準備制度(FRB)の特異性があるのでは?
③日本銀行は、1882年半官半民銀行として設立。戦時中の1942年制定された日本銀行法により大蔵大臣の指揮下に入る。日銀の目的は「国家経済 総力の適切なる発揮」で、運営目標は「国家目的の達成」と規定される。これは日本だけではなく、第二次大戦前後に国有化された他の先進国の中央銀行も同 様。1946年国有化されたイングランド銀行では金融政策は政府の権限であり、中央銀行は政府の方針に従って行動するだけ。ところが、1997年改正され た新日本銀行法によって、日銀はアメリカ連邦準備制度(FRB)に近づいたらしい。なぜか?
④ドイツ・ブンデスバンクの特殊性。政府機関の外側にあり、政府の意向に反しても独自の政策を実施する権限を憲法上保障されているらしい。EU統合に当って、ヨーロッパ各国の中央銀行の政府からの独立性が高まったが、それを主導したのがドイツ・ブンデスバンク。
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