「つくばエクスプレス」沿線 乗客増え、地域発展の秘密
「首都圏から離れた住宅地はなかなか発展しない」というのがこれまでの「常識」だった。そんな中で、「つくばエクスプレス」(TX)沿線は例外だ。住宅開発が進み、人の行き来も増えた。どうしてなのか、その秘密を探ってみた。
首都圏の私鉄電車で初の最高時速130キロを実現
08年春にはコースターをプレゼントするキャンペーンも行われる
同路線は、2005年8月に開業し、東京・秋葉原と茨城県つくば市とを最速45分で結んでいる。沿線自治体としては茨城県守谷市、千葉県流山 市、埼玉県八潮市などがあり、従来は鉄道でのアクセスが不便な地域だった。首都圏から守谷市に行くには、上野から常磐線で取手まで行き、そこから「関東鉄 道」のディーゼルカーに乗り換える必要があった。つくば市に行くためには、東京駅からの高速バス利用が一般的だった。つくば市には筑波大学があるなど、研 究学園都市として知られるが、研究関係者からもアクセスの不便さを訴える声が上がっていた。TXの開業で、これらの「鉄道過疎地帯」が一掃された形だ。
TXを運営する「首都圏新都市鉄道」 では、開業にあたって「あらゆる面で『最先端の鉄道』を目指した」と話す。例えば首都圏の私鉄通勤電車では初めて最高時速130キロを実現したほか、走行 中も地下鉄部分を含め無線LANが利用できる。各駅には転落防止用の「ホームドア」を完備し、安全性を高めている。沿線に踏切がないこともあり、開業以 来、人身事故は1件も起こっていない。同社では
「『速さ』と『安全性』がTXの売りです。加えて、お客様からは『遅れない』という評価もいただいております」
と胸を張る。
実際、乗客数は順調な伸びを見せている。08年1月の1日平均乗客数は23万8500人で、06年度平均の19万5300人よりも2割多い。 乗客数の当初目標は「開業5年後の2010年度に27万人」だが、達成はほぼ確実な情勢だ。好調の理由は、他路線からの定期券の切り替えをする住民が増え ているほか、沿線の宅地開発が進んでいることがある。
同社では「宅地整備支援もTXのミッション」と話しており、TX開業にあわせて、20地区3000ヘクタールで土地区画整理事業が行われ、沿線地区の開発が急ピッチで進められている。
開業3年で車両増強、本数も増やす計画
TXは秋葉原とつくばを最速45分で結ぶ
例えば守谷駅周辺ではマンション開発が相次いでおり、戸建住宅も市内各地で建設されている。また守谷市以外でも住宅の建設が進んでいるほか、 流山おおたかの森、柏の葉キャンパス、守谷の各駅前には大規模ショッピングセンターが開業。08年秋には、研究学園駅前にもオープンする。
このように沿線地域の開発が進み乗客数の伸びも順調なことから、同社では、
「開業以来、駅の設備を改良したり、『早期地震警報システム』を導入するなどでサービス向上・安全の強化を図ってきました」
としながらも、今後についても
「08年秋には車両を4編成(24車両)増やして、運転本数を増やす予定です」
と話している。
またそれ以外にも、夏休みには広告スペースに沿線の小学生が描いた絵を飾る「こども美術館列車」を運行したり、地域の観光イベントと連携する などして地域とのつながりを深めていきたい考えだ。さらに、08年3月15日からTX全駅でIC乗車券「パスモ」を電子マネーとして使えるようになったこ とを記念し、3月25日からは、パスモで500円以上の買い物をした人先着6万人に、マスコットキャラクター「スピーフィ」をデザインしたコースターをプ レゼントするキャンペーンも行われる。
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