大気、食に不安…外国勢、直前合宿は日本が人気 (1/2ページ)
北京五輪開幕まで、8日で1カ月となった。外国チームの直前合宿地もほぼ出そろったが、日本で合宿を行う国が目立っ ている。大気汚染や食の安全への懸念、中国国内の「政治的緊張」など何かと不安のある中国を避ける傾向にあるなかで、時差が1時間で練習施設が充実してい る日本は最終調整地にはうってつけ。20カ国以上の選手が日本国内で直前合宿を行う予定で、海外勢は日本経由で北京へ乗り込む構図になった。(金子昌世)
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最大規模の受け入れとなるのが福岡市。今月22日から8月19日まで陸上や水泳などスウェーデンの13競技の選手団(約150人)を受け入れるほか、オランダ陸上チーム約30人も31日から8月19日まで合宿を張る。
スウェーデンが初めて福岡市を視察に訪れたのは2005年2月。オランダも06年4月に訪れたというだけに、4年に1度の五輪にかける意気込みがうかがえ る。スウェーデンは中国と韓国も視察したが、最終的に福岡を選んだ。同市の関係者によると、「物価は日本の方が高いが、施設が充実しているし、対応もきめ 細やかで安心。中国ではレストランに入っても頼んでいないモノが出てくる」などと理由を語ったという。施設の充実ぶりはもちろんだが、日本の“おもてなし 精神”も高く評価された。
最高のコンディションで本番を迎えるためには最終調整は極めて大切で、何よりも安心と信用が重要な要素。北京五輪組織委員会では先月下旬、大会期 間中の交通規制の詳細を発表し、排ガス量を63%抑えられるとして「大気汚染を改善する自信がある」と訴えたが、4月のマラソンテスト大会では雨中のレー スで「ユニホームが黒くなった」などの意見も出た。
懸念がある以上は避ける方がいいに違いない。こうした懸念は一般にも広がっており、航空便では利用者の減少もあって福岡-北京の直通便が今月からなくなり、「すべて大連経由の便になった」という。
昨夏に大阪市で行われた陸上世界選手権の直前に日本国内で練習を行い、好印象を持った“リピーター”の存在も目立つ。フィンランドからは、香川県丸亀市に 陸上チーム45人、同県坂出市にカヌーとボートの10人が訪れる予定。島根県松江市ではアイルランドの陸上チーム約30人が調整を行う。同国育ちの小泉八 雲(ラフカディオ・ハーン)ゆかりの町で、以前から交流が盛んだった縁もあるが、世界選手権の際の評価も高かったようだ。
また英国水泳 チームも7月下旬から約1カ月間、大阪市で事前合宿を張る予定。中国の不安と日本の安心は、世界の共通認識となっているようだ。8月8日の五輪開幕を前 に、今月下旬以降、北海道から熊本までの各地に20カ国以上の代表チームが来日し、日本を拠点に北京に挑む。